※この記事は「利益確定と損切り①:いつ決めるの?!どうやって?」の続きです。
前回、記事の最後に「取引前に利益確定と損切りの値を決めるってどうやればいいの?」と書きました。
今回はそれについて扱います。
まず最初にいくつか整理しておきたいことがありますので下記にまとめてみます。
(下記は、FXのやり方全般に共通することでもあります)
①「利益確定も損切りも、計算やデータに基づいて決める」
これは、自分の好みや希望で値を決めてはいけないということです。
例えば、「1度の取引で○○pipsは取りたいから利益確定は○○pipsに入れておこう、損切りは目標の利益確定額の半値で入れておこう」というような感覚的な方法は避ける必要があります。
必ず計算やデータに基づいて決めてください。
②「大きな利益は狙わない。コツコツ積み上げていく」
FXのやり方の中で、利益確定と損切りは取引全体の一部に過ぎません。
取引とは「対象通貨ペアの選択・チャート設定・レバレッジ・取引開始と終了のルール」をセットで考える必要があります。
これはどのFXのやり方を使うとしても同じです。
例えば「長期投資で利益を上げる」というFXのやり方を考えた場合、
・初期資金多め
・レバレッジ低め
・チャートはダマシを少なくするため長期線を多用
・スワップによる損失回避のため金利差がある通貨は買いから入る
・安定した運用のために地政学リスクのある国の通貨は避ける、
などの方法を複合的に用いる必要があります。
上記をセットで運用しない限り「長期投資で利益を上げる」というFXのやり方は成り立たない可能性が高いわけです。
ちなみに、当サイトでご紹介しているチャート設定やレバレッジは「コツコツ利益を積み上げる」際にも有効なものを選んで載せています。(検証済みです)
※「コツコツ」積み上げていく際にも有効な設定を考えている理由について※
世界の現状を考えるに、
・どこでテロが起きるか分からない
・各国の大統領のような強い発言力を持つ人物の一言で相場の流れが変わりやすい。
・ブレグジットやトルコの政情などを鑑みるに世界的にリスクオン・リスクオフに対し敏感になっている。
そんな先行きの読めない状況が多く存在しているため利益を「コツコツ」積み上げていく手法にも通じる情報をまとめています。
上記が、事前に整理しておきたい内容でした。
では、いよいよ・・・
取引前に利益確定と損切りの値を決める具体的な手法のお話です。
ここでもまず前提のお話から。
取引前に利益確定と損切りの値を決めるには下記の手順を踏む必要があります。
手順①:エントリーの手法・チャート設定を確立する。
手順②:確立したエントリーの手法に基づいて過去のチャートからエントリーポイントを探す。
手順③:手順②のエントリーポイントに基づく利益確定と損切りの最低期待値を出す。
⇒手順③で出した「利益確定と損切りの最低期待値」が基本の数値となる。
では、具体的に。
手順①エントリーの手法(チャート設定)を確立する。
逆算して考えると分かりやすくなりますが、取引前に利益確定と損切りの値を決めるためには、利益確定・損切りを予測しやすい位置でエントリーすれば良いわけです。
そのために大事なことは「チャートにエントリーのサインが出るまでは取引を待つ」ことです。
(闇雲に取引をすると、利益確定と損切りの値を決めることが困難になる=損失につながる危険があります。)
チャート設定については別ページの「②おすすめのチャート設定」に記載しておりますが、エントリー方法について簡単にまとめますと、
「おすすめチャート設定」ページ記載のインジケーターを用いて
ステップ1:日足・8時間足・4時間足でトレンドを確認する。
ステップ2:1時間足・30分足・15分足でステップ1と同じ方向にエントリーサインが出たら取引開始する。
というやり方となります。
これがエントリーの手法(チャート設定)を確立するということです。
手順②:
・手法に基づいて過去のチャートからエントリーポイントを探す。
・エントリーポイントに基づく利益確定と損切りの最低期待値を出す。
別ページの「②おすすめのチャート設定」と上記手順①を使えば過去のエントリーポイントを探すのは可能です。
(チャート設定になれる練習の意味もありますので、是非やってみてください)
過去のエントリーポイントが見つかったら、次は利益確定と損切りの最低期待値を出す必要があります。
これは分かりづらいと思いますが、以下を考えながら探すと答えが見えてくるはずです。
「過去のエントリーポイントのサインどおりにエントリーすれば勝てたする。
そのとき、エントリーポイントから反落(反騰)したのは何pipsか?利益は何pipsか?」
具体的に書くとこうなります。
例①
・ポンド/円で140.50で買いサインが点灯し140.50で買いエントリー
・一時的に反落し、140.32まで落ちたが、その後は上昇再開し140.80で動きが停滞した。
・その後、140.00まで大きく値を下げた。
例②
・ポンド/円で141.20で買いサインが点灯し141.20で買いエントリー
・一時的に反落し、141.10まで落ちたが、その後は上昇再開し141.70で動きが停滞した。
・その後、142.00まで値を上げた。
こういった幾つかのデータから「反落(反騰)したのは何pipsか?利益は何pipsか?」を出していくわけです。
ここで注意点が一つ。
例①の場合、「140.50で売っていれば140.00で50pipsの利益だったのに!」と考えるのは間違いです。
なぜなら、点灯したのは買いサインですから、売りで入っておけばというのは絵空事に過ぎないからです。
では、例①、②から「反落(反騰)したのは何pipsか?利益は何pipsか?」を出してみましょう。
例①:反落140.50から140.32=18pips、利益140.50から140.80=30pips
例②:反落141.20から141.10=10pips、利益141.20から141.70=50pips
※利益は、停滞したところで利食いしたとします。
上記は2例だけですが、これを過去数か月分出すともっと多くのデータとれます。
さて上記2例で利益確定と損切りの最低期待値はどこでしょうか?
※慣れるまで混乱すると思いますが、
確実に利益確定するために「利益確定は近く」
なるべく損切りにかかるリスクを減らすために「損切りは遠く」
これが「最低期待値」の考え方となります。
(具体例を下記に載せますが分かるまで繰り返し読んでください)
利益確定の最低期待値は例①の30pips
損切りの最低期待値は例①の18pipsより一つ遠くして19pipsとなります。
そうすれば、例①②ともに利益確定しますし、例①②ともに損切りに合わずに済みますよね?
では、これで本当に「総合的な利益」につながるのでしょうか?
実際にいくつかOCO注文のパターンを仮定して考えてみましょう。
■仮定1:利食い50pips、損切り11pipsの場合
例①で11pips負け、例②で50pips勝ち 利益合計:39pips
■仮定2:利食い50pips、損切り19pipsの場合
⇒例①で19pips負け、例②で50pips勝ち 利益合計:31pips
■仮定3:利食い30pips、損切り11pipsの場合
⇒例①で11pips負け、例②で30pips勝ち 利益合計:19pips
■仮定4:利食い30pips、損切り19pipsの場合
⇒例①で30pips勝ち、例②で30pips勝ち 利益合計:60pips
つまり、仮定4が一番利益が多くなりますよね。
仮定4の利益確定は、上述した最低期待値の30pips、損切りも上述した最低期待値の19pipsです。
このように、いくつものデータの中で利益確定と損切りの最低期待値を出して、それを基準値とすれば、総合的に利益を多く積み上げていくことが出来るわけです。
しかも、基準値が分かればOCO注文を入れるのも簡単です。
今回は、
①安定して利益を積み上げていくなら
②過去データから期待値を計算し、損切り位置と利益確定位置を割り出して
③割り出したデータのとおりにOCO注文を入れておく。
という手法のお話でした。
利益確定や損切りに関して他の方法があるのは確かですので、あくまで「手法の一つ」として参考にしていただければと思います。
皆様のお役に立てれば幸いです。